子どもの貧困は日本の未来を決する問題だけではなく、子ども一人ひとりの人権に関する問題だと思う。
3keysによれば
http://3keys.jp/state/
OECDによると2005年の日本の子どもの貧困率は14.3%となっており、約6人に1人が貧困状態と言われています(2009年の厚生労働省調査によるとは15.7%)。
子どもの貧困とは、等価可処分所得の中央値の50%以下の所得で暮らす相対的貧困の17歳以下の子どもの存在及び生活状況を言い、一般的な水準の半分にも満たない水準で暮らしている子どもたちがどれだけいるのかということを指しています。
さらに母子世帯においては、66%が貧困となっており、地域のつながりの希薄化や離婚・核家族化等による支え合いの減少が貧困に強く結びついていることや、ひとり親家庭等に対しての社会保障が十分に追いついていない現状も窺えます。
そして
子どもたちは生まれた環境の経済的状況や、余裕等によってこれからの社会を生き抜いていく上で必要とされているあらゆる力が身につけられなくなってしまっているのが現状です。
さらにそのような力が身につかないことによって自分自身を責めたり、自信や意欲をもなくしていく、意欲や希望の格差にもつながりかねません。
日本では児童憲章によってすべての子どもたちに以下の権利があると定められていますが、実態としては環境によってそれが十分に保障されていないのです。
と指摘する。
親の責任に帰すこともできない。さらには次世代にも問題は引き継がれるリスクが高い。
これらの問題は何世代かにわたって引き継がれてきた根深い問題であり、それに対して社会に十分がサポートがないという社会の在り方の問題として考えていかなければいけません。親が生活保護を受給していた場合、その子どもが母親になった場合に生活保護を受ける確率は一般の約10倍近く、貧困率も3倍程度になります。その他でも親の離婚歴や、親からのDV歴等が、貧困状況に影響している
貧困の連鎖は深刻な問題である。
朝日新聞特集「子どもと貧困」では次のように報じている。
http://digital.asahi.com/articles/ASJBD638ZJBDPTIL022.html
困窮世帯の高校中退率が高いと貧困が連鎖しやすいとして、国は「子どもの貧困対策大綱」などで中退防止を掲げる。
文部科学省と厚生労働省によると、2014年度の高校中退者数は5万3391人で中退率は1・5%。生活保護世帯の中退者数は2323人で中退率4・5%。全世帯平均の3倍だ。
20代への国の調査結果(12年)を労働政策研究・研修機構が分析したところ、失業率は高卒6・1%に対し高校中退者は14・6%。正社員の割合は高卒44・3%に対し、中退者は21・6%だった。
困窮世帯の高校中退率が高いと貧困が連鎖しやすいとして、国は「子どもの貧困対策大綱」などで中退防止を掲げる。
文部科学省と厚生労働省によると、2014年度の高校中退者数は5万3391人で中退率は1・5%。生活保護世帯の中退者数は2323人で中退率4・5%。全世帯平均の3倍だ。
20代への国の調査結果(12年)を労働政策研究・研修機構が分析したところ、失業率は高卒6・1%に対し高校中退者は14・6%。正社員の割合は高卒44・3%に対し、中退者は21・6%だった。
記事では、慶応大の中室牧子准教授の話を紹介している。
高校中退で十分な技術や知識が身につかなければ、リーマン・ショックのような予期せぬ事態でリストラなどの困難に陥りやすい。高卒や大卒者との生涯収入の差も出てくる。家庭を持っても、生活が不安定で子どもの教育にお金をかけられず貧困の連鎖が起きうる。問題を放置することの社会的コストは大きい。
NHKスペシャル2月12日放映「見えない貧困~未来を奪われる子どもたち~」
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170212
はかつて「無縁社会」に取り組んだスタッフたちの継続的取り組みによる労作であった。
6人に1人の子どもが相対的貧困状態に置かれている日本。そ
の対策は喫緊の課題とされながら有効な手立てを打てていない。
そうした中、東京、大阪などの自治体や国が初めて大規模調査を実施。
世帯収入だけでは見えない貧困の実態を可視化し、対策につなげようとしている。
調査から貧困を見えにくくしていた要因も浮かび上がりつつある。
1つ目は、ファストファッションや格安スマホなど物質的な豊かさによって粉飾されること。
2つ目は高校生のアルバイトなど子ども達が家計の支え手になっていること。
3つ目は、本人が貧困を隠すために、教師や周囲の大人が気づきにくいことだ。
こうした状況を放置すれば、将来の社会的損失は40兆円に上るという試算もある。
進学率の低迷、生活保護や社会保障費の増加など、社会全体のリスクとして捉えるべきと専門家も指摘している。
相対的貧困に直面する子どもたちの実態ルポとデータ解析で可視化し、専門家の提言も交え、「見えない貧困」を克服する道筋を明らかにしていく。
「将来の社会的損失は40兆円」という数字にも驚かされるが、そうした規模で子どもの人権が侵害され、侵害されるリスクを抱えていることには真剣に向き合う必要があると思う。