散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)が公表

■散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)が厚労省HPで公表された

2021年3月、厚労省のホームページに「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」が掲載された。
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000763737.pdf

厚労省のホームページに入って「散骨」という用語を検索すればすぐ出てくるが、手順からいえば次のようになる。

〈政策〉⇛〈分野別政策〉⇛〈健康・医療〉⇛〈生活衛生〉⇛〈生活衛生対策〉⇛〈施策情報〉⇛〈墓地・埋葬〉⇛〈参考資料集(パンフレット等)〉

つまり、この「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、厚労省が直接作成して定めたものではない、という位置づけである。
あくまで「参考資料」として、厚生労働科学特別研究としてなされたものを公表した、という位置づけである。
本ガイドラインは「令和2年度厚生労働科学特別研究事業」としてなされたもので、公募による。

私がこのガイドラインの存在を知ったのはつい先日の6月11日のことである。もとより私は現役でないため情報入手が遅くなり、海洋葬に従事している方から教えていただいた。

厚労省は本ガイドラインを次のように説明している。
「近年、葬送の在り方に関する国民の意識の変化に伴い、新たな葬送として散骨が広がりつつあるところ、このような状況を踏まえ、令和2年度厚生労働科学特別研究事業『墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究』において、散骨に関する調査研究が実施され、同調査研究において、別添のとおり散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)が取りまとめられました。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123872.html

■ガイドラインは誰が作成したのか?

検索した結果行き着いたのが、令和3年(2021年)3月に発表された『墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究—令和2年度総括研究報告書』(研究代表者;喜多村悦史=東京福祉大教授=)である。
http://www.zenbokyo.or.jp/20210413-j-sec-houkokusho.pdf
公益社団法人全日本墓園協会のホームページにあり、ここから厚労省のホームページにもリンクされているとのこと。

この研究報告は全日本墓園協会のホームページにあるものの、厚生科学研究を受託し、中心を担ったのは、日本斎苑協会との説がある。
一般社団法人日本石材産業協会『石産協通信vol.75』によれば、「特定非営利活動法人日本環境斎苑協会(奥村明雄理事長)が令和2年度の厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」(代表研究者=同協会理事・東京福祉大学副学長 喜多村悦史氏)で「散骨」に関する調査研究を実施し」とある。
日本斎苑協会とは、「火葬場の近代化:施設の近代化・人の近代化・教育研修の推進」を標榜している火葬場に関する事業者団体である。

その記事の中には「こうした動きのなか、全国石製品協同組合、(一社)全国優良石材店の会、当会は3団体で『散骨に関する現状と課題研究委員会』を 組織。 昨年12月18日には、前述の研究会と東京・新橋にある航空会館会議室で意見交換会が行なわれました。 同研究委員会は 『散骨に関する提言書』を提出し、自然環境と公共の福祉、そして死者の尊厳と供養心が守られる散骨ガイドラインの必要性を提言しました。また、『散骨ガイドライン(案)』も提出し、散骨場所の許可制、散骨の届出制などを記載し、散骨が行政管理されたなか で実施されるべき旨の内容でした」とある。

ここから、報告書をまとめるにあたり、墓石事業者業界3団体が意見を出したことがわかる。
業界3団体の案が本ガイドラインにどれだけ影響を与えたかは不明であるが。

報告書が全日本墓園協会か日本斎苑協会か、という問題は以下の経緯によるのであろう。
報告書には「研究代表者 喜田村悦史 東京福祉大学教授 特定非営利活動法人日本環境斎苑協会理事」と記載されていて、「研究者」として、「横田勇 静岡県立大学名誉教授 特定非営利活動法人日本環境斎苑協会常任理事」、「横田睦 公益社団法人日本墓園協会理事」、「小松初男 弁護士 虎ノ門法律事務所」の3名が、「研究協力者」として「福井晶喜 独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第二課長」が記されている。
つまり日本斎苑協会と全日本墓園協会の主要なメンバーによって本報告書が作成されたということである。
また報告書の詳細を見ると、事務局は日本斎苑協会が担ったと推測される。

厚労省のホームページに「参考資料」として「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」が掲載されているが、誰による研究なのか明示されるべきだったろう。
あるいは関係した全日本墓園協会、日本斎苑協会、墓石事業者団体、全国海洋散骨船協会、日本海洋散骨協会等の海洋葬事業者団体等においては、「厚労省のホームページに記載された」という事実が重要だったのかもしれない。

■報告書にあるガイドラインは「散骨事業者向け」だけではない

厚労省がホームページに掲載しているのは「散骨事業者向け」のガイドラインであるが、報告書に記載されているのはこれだけではない。

そもそも研究は2本立てになっている。
(注意)資料と本文が混在しているため、以下該当ページを注記した。目次にページが記されていれば使いやすかったのに、と思う。

第1は散骨についてのガイドラインの提案。
http://www.zenbokyo.or.jp/20210413-j-sec-houkokusho.pdf
p263~
第2は火葬場の建設・維持管理マニュアルの改訂にあたり留意すべきこと。
http://www.zenbokyo.or.jp/20210413-j-sec-houkokusho.pdf
p271~

第1は、❶散骨についての基本的考え方のとりまとめ(p263~、❷地方公共団体の判断事項に対するガイドライン(p266~)、❸事業者に対するガイドライン(p269~)、である。
その中で❸だけを厚労省はHPで紹介しているのは、❸は厚労省も同意だが、❶と❷については必ずしも同意していないのか、とうがった見方をしてみたくなる。

散骨に関するガイドラインについては、「厚生労働省に提出したうえで、厚生労働省のご指導の下で、適切な普及啓発活動が行われることが望まれる」としている。

 

次回から、これまでの散骨論議の経緯、今回のガイドラインの解題を数回に分けて行うことにする。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

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