厚労省 新型コロナ患者の遺体取扱いガイドラインを正式改正

厚労省ガイドラインを1月6日付けで正式改正

23年1月6日、厚労省は「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」を正式に改正、同日、加藤厚労相が記者会見で発表した。

各社発表しているが、NHKを示す。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230106/k10013942851000.html

加藤厚労相の記者会見は以下。
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00514.html

厚労省によるガイドライン改正原本は以下。
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001033427.pdf

改正内容(原文)

ここで書かれたこと(原文のまま)

令和5年1月改正にあたって

国内でワクチン接種が進み、治療の選択肢が出てきたこと等から、新型コロナウイルス感染症の対策は変化してきています。政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和3年 11 月 19 日(令和4年9月8日変更)新型コロナウイルス感染症対策本部決定)では、「社会経済活動をできる限り維持しながら、効果が高いと見込まれる対策を機動的・重点的に取り組むこと」としており、また、新型コロナウイルス感染症に関する状況の変化を勘案して当該感染症の「感染症法の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成 10 年法律第 114 号)上の位置付けの在り方を検討しているところであり、今般、本ガイドラインを改正することとしました。

葬儀や火葬では、屋内で高齢者や基礎疾患のある者と接することがあるため、平時からのワクチン接種に加え、基本的な感染対策として、体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等が重要になります。
本ガイドラインを活用いただき、適切な感染対策を講じて、遺族等のご意思をできる限り尊重するようお願いいたします。各事業者におかれては、本ガイドラインに沿った対応を行う準備を行い、できる限り早急に対応するようお願いいたします(準備を行っている期間の場合は、遺族等や医療機関等にその旨を説明してください)。

なお、これらの感染対策は、感染力や重篤性が異なる新たな変異株の出現などにより変更され得るものであり、変更があった場合には改めて周知いたします。

<本ガイドラインのポイント>

(納体袋に関して)
遺体に適切な感染対策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防を行う等)を講ずることにより、通常の遺体と同様に取り扱うことができ、納体袋に収容する必要はなくなります。

※ ただし、遺体の状況により納体袋の使用をお願いいたします。損傷が激しい遺体、解剖後の遺体等、体液漏出のリスクが非常に高いと想定される場合は、納体袋をご使用ください。

感染予防策を実施する期間を満了した後に亡くなられた場合の遺体は、通常の遺体と同様に取り扱うことができ、納体袋に収容する必要はありません。

(通夜、葬儀について)
○ 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の通夜、葬儀については、遺族等の方の意向を踏まえ、適切に感染対策を講じて、通夜、葬儀を執り行うようお願いします。

※ 「適切に感染対策」は、本ガイドラインに記載している、遺体に適切な感染対策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防を行うこと等)を講ずること、納棺時に棺表面を清拭・消毒すること、基本的な感染対策(体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等)を徹底すること等を指します。

(火葬について)
○ 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の火葬について、遺族等の方の意向を踏まえ、適切に感染対策を講じて、火葬を執り行うようお願いします。

※ 「適切に感染対策」は、本ガイドラインに記載している、遺体に適切な感染対
策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防
を行うこと等)を講ずること、納棺時に棺表面を清拭・消毒すること、基本的な
感染対策(体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接)の
回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛
生、換気等)を徹底すること等を指します。

適切な感染対策が実施されている場合は、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた遺体とそれ以外の遺体で火葬時間帯を分ける必要はなく、遺族等の動線分離も必要ありません。

※ 「適切な感染対策」は、本ガイドラインに記載している、遺体に適切な感染対策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防を行うこと等)を講ずること、納棺時に棺表面を清拭・消毒すること、基本的な感染対策(体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等)を徹底すること等を指します。

(拾骨について)
○ 新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の拾骨について、遺族等の方の意向を踏まえ、適切に感染対策を講じて、拾骨を執り行うようお願いします。

※ 「適切に感染対策」は、本ガイドラインに記載している、基本的な感染対策(体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等)を徹底すること等を指します。

「遺体からの感染リスク」の変更

「遺体からの感染リスクについて 」も変更している。

新型コロナウイルス感染症は、一般的には飛沫感染、接触感染、エアロゾル感染で感染します。
遺体においては、体内に感染性ウイルスが残存していても、呼吸や咳による飛沫感染やエアロゾル感染のおそれはありませんが、接触感染、搬送時等の体液等の漏出に伴う感染に注意する必要があります。
しかしながら、遺体に適切な感染対策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防を行うこと等)を講ずることにより、遺体からの感染リスクは極めて低くなり、通常の遺体と同様に取り扱うことができます。
WHO のガイダンス(令和 2 年 9 月 4 日版)でも、遺体の曝露から感染するという根拠はないとされております。

また、生存している場合、感染者からの感染は、発症日から 10 日間経過した後(無症状者では検体採取日から 10 日間を経過した後)はほぼ起こらないことから、感染予防策を実施する期間が定められています。
感染予防策を実施する期間を満了した後に亡くなられた場合の遺体は、通常の遺体と同様に取り扱うことができます

納体袋について

遺体に適切な感染対策(清拭及び鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体液等の漏出予防を行うこと等)を講ずることにより、通常の遺体と同様に取り扱うことができ、納体袋に収容する必要はなくなります。
ただし、遺体の状況により納体袋の使用をお願いいたします。損傷が激しい遺体、解剖後の遺体等、体液漏出のリスクが非常に高いと想定される場合は、納体袋をご使用ください。(使用方法は別添3参照)
感染予防策を実施する期間を満了した後に亡くなられた場合の遺体は、通常の遺体と同様に取り扱うことができ、納体袋に収容する必要はあり
ません。

人からの感染リスクについて

遺族等の方に対応される際は、今般の新型コロナウイルス感染症の流行に鑑み、体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等の基本的な感染対策を徹底することが求められます。

遺族等の方が濃厚接触者である場合の対応について

濃厚接触者の方は発症のリスクがあることを踏まえて、特に症状のある場合については、対面での打合せや葬儀、火葬への参列をご遠慮いただき、オンライン等の手段を活用した参加等をお願いしてください。
無症状の濃厚接触者についても、オンラインの活用等、対面を避ける取組が推奨されますが、その方の検査の状況を踏まえつつ、感染対策を徹底することが可能であれば対面での対応も検討することができます。
濃厚接触者が葬儀、火葬等へ参列される場合、その方の検査の状況を踏まえつつ、特に基本的な感染対策(体調不良時のオンライン等の活用、三つの密(密閉・密集・密接)の回避、人と人との距離の確保、場面に応じたマスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等)を徹底してください。

遺体への接触について

感染予防策を実施する期間を満了する前に亡くなられた遺体に、臨終後の対応、エンゼルケア(死後処置)※1で触れる場合は、新型コロナウイルス感染者に接する場合に準じた対応※2が必要です。

※1 清拭、整容とともに、鼻、肛門等への詰め物や紙おむつの使用等により体
液等の漏出予防を行うこと等
※2 サージカルマスク、手袋、使い捨ての長袖ガウン、眼の防護具(フェイス
シールド又はゴーグル)を着用

また、感染予防策を実施する期間を満了する前に亡くなられた遺体に、納棺で棺に入れる際に触れる場合は、サージカルマスク、手袋、使い捨ての長袖ガウン(又は使い捨てエプロン)を着用することが推奨されます。
上記の場合、上記以外の場合ともに、遺体に触れた後は、手洗い等の手指衛生を実施してください。
なお、感染予防策を実施する期間を満了した後に亡くなられた場合の遺体は、通常の遺体と同様に取り扱うことができ、遺体への特別な感染対策は不要です。

個別の場面ごとの感染管理上の留意点

変更の要点を示す。

・エンゼルケア(死後処置)
これまでは、「医療従事者のみ可」であったのが、「遺族等の方」「医療従事
者等の方」「遺体等を取り扱う事業者の方」も可となった。

・非透過性納体袋への収容・消毒
この項は削除となった。つまり、「非透過性納体袋への収容・消毒」は不要に。

・納棺 
これまでは「遺族等の方」は不可であったが、可となった。

地域の実情や亡くなられた場所等によって、関係者が表と異なることがあります。高齢者施設等や自宅で亡くなられた場合、臨終後の対応、エンゼルケア(死後処置)は、医療従事者や施設職員等、遺体等を取り扱う事業者の方が地域の実情等に応じて対応いただくことになります。

※エンゼルケア(死後処置)は、「医療従事者」とされていたものが、「医療従事者等」となることで、施設職員等、遺体を取扱う事業者も 可となった。

感染予防策を実施する期間を満了する前に亡くなられた遺体に、臨終後の対応、エンゼルケア(死後処置)で触れる場合は、新型コロナウイルス感染者に接する場合に準じた対応※をお願いします。また、手袋等を外した後は手指衛生を徹底してください。

※ サージカルマスク、手袋、使い捨ての長袖ガウン、眼の防護具(フェイスシ
ールド又はゴーグル)を着用

 

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/