海洋散骨ガイドライン―『海へ還るー海洋散骨の手引き』を読む(2)

村田ますみ編『海へ還るー海洋散骨の手引き』はいろいろな意味で興味深かった。 特に興味深かったのが「付録」として掲載された日本海洋散骨協会「海洋散骨ガイドライン」である。 これは優れている。 ガイドライン策定趣旨に次のように記されている。 万が一、散骨の態様が祭祀としての節度を越え、一般市民の宗教的感情を害した場合、遺骨遺棄罪にあたり違法と判断される可能性があります。 そこで、海洋散骨が祭祀としての節度をもって行われることを確保するために、業界団体として散骨方法に関する自主基準を策定する必要があると考えま... 続きを読む

海洋民族の記憶の古層―『海へ還るー海洋散骨の手引き』を読む(1)

太田宏人さんとの縁で、村田ますみさんから彼の遺稿が収録された本を出す準備をされていると教えていただいた。 (注)太田宏人さんについては ペルーとの関係を含めてわかる晃輝和尚の https://ameblo.jp/seiryo-koki/entry-12377528763.html hasunohaさん(僧侶)の http://taka.hasunoha-blog.info/shinsai6year/ 私が書いた太田さんの訃報 https://hajime-himonya.com/?p=1569 私が書いた... 続きを読む

上野創『がんと向き合って』を読む

上野創『がんと向き合って』を読む ■「がんとともに生きる」 今朝(2018年2月4日)の朝日新聞朝刊を読んでいて気づいたのは「がんとともに生きる」という記事がさまざまな形で取り上げられていたことであった。 がんに罹ったことで退職を強要されることもまだまだ多い、という現実には心を痛める。 がん治療が相変わらず過酷なこと。 体力はもとより精神的にも大きな揺れをもたらすこと。 小児がんで子どもを亡くされた親たちの会で聴いた話は今でも鮮烈である。 (きょう明日掲載と聞かされていた「弔いのあり方」が掲載されていたが... 続きを読む

『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』小谷みどり

小谷みどりさんから最新作 『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓』(岩波新書) が送られてきた。 すごい本だ! 最新の葬送事情が歴史的社会的背景も踏まえ、また確かな情報分析力で描出されている。 この本読まずに葬送を語るなかれ、だ。 「火葬場が足りない?」という表面的にいかにも通の人たちの間違い 神奈川県横須賀市。大和市等の自治体で取り組んでいる話題のエンディングサポート事業 「墓じまい」が話題となっているが顕著に増加する無縁墓 こうした旬の問題だけではない。 ここに取り上げられていない問題はないくらいだ... 続きを読む

共謀罪から「聖俗」二元論までつらつらと―雑感①

今朝(20170514)の朝日から気になった言葉を抜いてみた。(ディジタルから引用しているので、本紙とは一部異なる) 共謀罪 共謀罪に関するカメラマン宮嶋茂樹の発言 むしろ共謀罪は、市民が犯罪者を拒む理由になるんじゃないか。「あなたとは会うだけで共謀罪に問われそうだから」と。もちろんテロリストや暴力団などの組織的犯罪集団と関係があるような人は一般市民とは言えない。  若い頃、大物右翼の赤尾敏氏(故人)を撮影した写真展を開いた。最初に会場に来たお客さんが「よう、宮嶋君。いい写真だね」と言う。公安刑事だった... 続きを読む