海洋散骨ガイドライン―『海へ還るー海洋散骨の手引き』を読む(2)

村田ますみ編『海へ還るー海洋散骨の手引き』はいろいろな意味で興味深かった。 特に興味深かったのが「付録」として掲載された日本海洋散骨協会「海洋散骨ガイドライン」である。 これは優れている。 ガイドライン策定趣旨に次のように記されている。 万が一、散骨の態様が祭祀としての節度を越え、一般市民の宗教的感情を害した場合、遺骨遺棄罪にあたり違法と判断される可能性があります。 そこで、海洋散骨が祭祀としての節度をもって行われることを確保するために、業界団体として散骨方法に関する自主基準を策定する必要があると考えま... 続きを読む

遺体は公衆衛生上安全か?

遺体は公衆衛生上安全か?   遺体のすべてが公衆衛生上リスクが高いわけではない。 だが、同様に言えることは「リスクが高い遺体もある」ということだ。 問題は、多くの場合、その判別がないままに遺体は病院から搬出されていることだ。 「病院が死亡退院を許すのは、公衆衛生上の危険がない、と判断しているからだ」 というのは事実に即さないきれいごと。 「病院が死亡後、死後のケア(死後の処置)をしているので、公衆衛生上は安全である」 というのはほとんど妄言に近い神話。 この神話を信じる医療関係者、葬祭関係者が... 続きを読む

葬祭サービスと葬祭ディレクター―葬祭サービスとは何か(4)最終回

「葬祭サービスとは何か?」について、歴史的文脈、遺体、遺族心理と過去3回論じてきた。 しばらく時間を置いたが、最終回となる今回は「葬祭ディレクター」を扱う。 葬祭サービスの歴史的文脈ー葬祭サービスとは何か?(1) https://hajime-himonya.com/?p=1563 死者・遺体の尊厳を守るー葬祭サービスとは何か?(2) https://hajime-himonya.com/?p=1565 遺族のケアで考えるべきこと 「死別」ということ―葬祭サービスとは何か?(3) https://haji... 続きを読む

海洋民族の記憶の古層―『海へ還るー海洋散骨の手引き』を読む(1)

太田宏人さんとの縁で、村田ますみさんから彼の遺稿が収録された本を出す準備をされていると教えていただいた。 (注)太田宏人さんについては ペルーとの関係を含めてわかる晃輝和尚の https://ameblo.jp/seiryo-koki/entry-12377528763.html hasunohaさん(僧侶)の http://taka.hasunoha-blog.info/shinsai6year/ 私が書いた太田さんの訃報 https://hajime-himonya.com/?p=1569 私が書いた... 続きを読む