家墓(イエハカ)の誕生史など

「墓(ハカ)」の問題が動き出したのは80年代の末。戦後、旧民法に替わり新民法になり、「家(イエ)」制度が消えたのに、墓は家制度の残滓である慣習を引きづったままであった。90年代には「うちは子どもが娘だけだから墓の跡継ぎがいない」と真面目に言っている人が多いのには驚き、呆れた。しかし墓園業者、寺院の中にも真面目に言うのがいたのには腹が立った。 しかし、日本人の墓は高度経済成長期以降、実は既に大きく変質していた。大都市近郊に民営墓地が増加したのは都市化により地方から都会に移動して、都市近郊に居を定めた核家族世... 続きを読む

墓じまい(ハカジマイ)のことなど

今年は季節がはっきりしている。冬から春、春から夏、夏から秋、今は秋真っ只中にある。昨夜から寝間着にしているTシャツを半袖から長袖に変えた。昼間と夜間の温度差が激しい。 今「ハカジマイ」ということが結構話題になっている。週刊誌的にはいい話題なのだろう。 少し前までは地方にある墓を住所地、例えば東京に墓を移す、「お墓の引越し」つまり「改葬」が話題になっていた。遠隔地に墓があったのでは墓参が大変、という理由であった。 今はもう少し進んで、継承者の必要な墓は地方でも東京でも維持がたいへんなので、家族の墓を整理して... 続きを読む

「戦争ゲーム」は直ちにやめよう

安全保障関連法がついに立法化。 これを受けて自衛隊はPKO派遣軍の軍備拡充に早速乗り出した。南スーダンで派遣部隊に「駆けつけ警護」の任務追加とその場合の「武器使用基準」の緩和である。 これは派遣部隊が紛争の前線に立って、「普通の」国の派遣部隊と同じく、同じ軍備で戦闘する事態を想定したものである。 これまでもイラク等への自衛隊派遣で自衛隊員に大きな精神障害を与え、自死に追い込んだ事例が指摘されている。戦闘参加は外的に銃殺される、というだけではなく、戦闘員の精神もむしばむ、極めて危険度の高いものである。これは... 続きを読む

鬼怒川の越水による大洪水

i鬼怒川が越水し、堤防決壊、濁流が茨城県常総市に流れ込み、死者も行方不明者もいまだ孤立して援助を求めている人が多い。 台風17号はその後宮城県大崎市、栗原市でも川の堤防を越水、決壊させた。 その映像が4年半前の東日本大震災の大津波の映像と重なった。被災地で映像を見た人は悪夢がフラッシュバックする想いだった人が少なくないだろう、と思った。 4年半前の大震災では太平洋沿岸部の人たちを大津波が襲った。茨城県、宮城県の沿岸部は壊滅的被害を受けた。今回は内陸部である。どこにも自然の脅威はあり、災害はいつの時代にも大... 続きを読む

川崎簡宿火災事件の根は深い

5月17日未明に起きた神奈川県川崎市川崎区日進町の簡易宿泊所(「簡宿」と略すらしい)の火災で9人が死亡、19人が怪我という大事件になった。 本日(2015年5月24日)の朝日新聞で「簡宿 浮かび上がる無縁」と題する記事が掲載された。  死者は9人。身元がわかったある男性の遺体は、家族が引き取りを拒否した。「決して珍しいことではない」と市の担当者は言う。 30軒以上の簡宿がひしめく川崎区日進町の取材を通して浮かび上がってきたのは、「無縁社会」へと突き進むこの国の姿だった。 キャバレー店長、沖縄の基地関係者、... 続きを読む