鵜飼秀徳『無葬社会』を紹介する前に、前著『寺院消滅』を紹介しておこう。 この書評を書いた日付は2015年8月31日になっている。『週刊現代』に書いたもので掲載は2015年9月の中旬ではないだろうか? 鵜飼秀徳『寺院消滅―失われる「地方」と「宗教」』(2015日経BP) 著者は仏教寺院の「消滅可能性」を警告しているのだが、本書で紹介された現実を見るならば、寺院の消滅はすでに進行中なのではないか。著者は、14年に発表され、衝撃を与えた日本創生会議(座長・増田寛也元総務相)の「2040年には全国の自治体の... 続きを読む
年: 2016年
日本人の死生観と神葬祭ー揺れ動く日本人の死生観 第3回
揺れ動く日本人の死生観 変わる葬送 本稿のもとになっているのは2010(平成22)年に神社神道の『月刊若木』に寄稿したものであるため、神道者を意識している。 3回に分けて掲載する。 第1回 葬送は戦後二度目の転換期、高度経済成長が招いたもの 第2回 バブル崩壊以後の個人化、超高齢社会の到来 第3回 日本人の死生観と神葬祭 ※再掲載にあたり、データは基本的に当時のまま、とした。 今回は第3回(最終回)。 日本人の死生観と神葬祭 仏教の葬祭仏教化が庶民化のカギになった... 続きを読む
バブル崩壊以後の個人化、超高齢社会の到来-揺れ動く日本人の死生観第2回
YouTube「びきまえ」まだ続いています。 https://www.youtube.com/watch?v=ZkbjCg8XocY402回「家族葬がはらんでいるもの 」あいかわらず滑舌悪いです。 揺れ動く日本人の死生観 変わる葬送 本稿のもとになっているのは2010(平成22)年に神社神道の『月刊若木』に寄稿したものであるため、神道者を意識している。 3回に分けて掲載する。 第1回 葬送は戦後二度目の転換期、高度経済成長が招いたもの 第2回 バブル崩壊以後の個... 続きを読む
葬送は戦後二度目の転換期-揺れ動く日本人の死生観 第1回
私の書くものを知っている方にとっては「また同じことを書いている」と思われるだろう。 同じ人間が書くものだから基本的ラインは同じであることは了解いただきたい。 但し、書くものによって少しずつ例証などが変わっている。その点に注目して読んでいただけると幸いである。 本稿のもとになっているのは2010(平成22)年に神社神道の『月刊若木』に寄稿したものであるため、神道者を意識している。 3回に分けて掲載する。 第1回 葬送は戦後二度目の転換期、高度経済成長が招いたもの 第2回 バブル崩壊以後の個人化、... 続きを読む
書評再録『夫の死に救われる妻たち』
ジェニファー・エリクソン、クリス・マゴニーグル(木村博江=訳) 夫の死に救われる妻たち(飛鳥新社) フロイトが「喪とメランコリー」を著したのは1917年。だが、死についての、しかも死別の悲嘆(グリーフ)についての研究(サナトロジー)、が本格化したのは朝鮮戦争後、日本では85年前後からであった。 しかし、遺された家族が喪に服すことが当然とされたのは古代にまでさかのぼる。特に夫と死別した妻が「未亡人」と言われ、悲しみ、慎まねばならないとされたのは古くから世界的に共通した慣習・規制であった。 米国では死別体... 続きを読む