三回忌―個から見た死と葬送(20)

三回忌 三回忌だという。 つい2カ月ほど前の出来事のような、はたまた夢の中の出来事であったかのような…。 現実感がまるでないのだ。 心を裂かれた傷みはまだ癒えることはない。 でも、癒える必要はないのだ、と思う。 この傷みこそあなたの残り香なのだから。 この傷みがなくなったら、あなたが私の手の届かない先に行ってしまったことになるから。 どうか、私の心を傷ませ続けてください。 「時間が解決してくれる。いや時間しか解決してくれない」と人は言う。 それは何と残酷なことだろう。 時間よ、止まってほしい。 かろうじ... 続きを読む

近親者の悲嘆への配慮―「弔い」としての葬式(3)

近親者の悲嘆への配慮   死者の近親者が死別により悲嘆を抱えるようになることは自然なことです。 それ自体病気ではありません。人間が深い関係にある人間を喪失した時に起こる、極めて人間的な感情です。それを埋めようとして行う近親者の作業を喪の作業(グリーフワーク)と言います。 死別の悲嘆(グリーフ)は泣き嘆くこともあれば、怒りになったり、他人への攻撃、情緒不安定、抑うつ等とさまざまな現れ方をします。それぞれの関係によるものですから、実にさまざまです。解放感、安堵もあるし、それだから薄情というわけではあ... 続きを読む

葬式の原点は何か?―「弔い」としての葬式(1)

葬式の原点は何か 葬送の変化を決定づけたのは2008年のリーマンショックです。しかし、変化は今から20年前の1995年から始まっています。 お葬式は確かに表面的にはとても変化しています。現在進行形で変化しています。 葬祭仏教の成立期である戦国時代のお葬式、昼間に行われるようになった明治時代のお葬式、祭壇が照明で煌めいたバブル景気時のお葬式、それぞれ様相には変化があります。しかし、原点、基本には変化がないように思います。 変わっているのは死者を取り巻く環境です。環境の変化に伴い、お葬式の形態も変化してき... 続きを読む

グリーフに関するお薦めサイトができた

2012年を迎えた。私の今年の年賀状の文面は以下のとおりである。 昨年2011年3月11日の東日本を襲った大惨事は、心を傷める出来事でした。現在も災中にあります。 新年にあたり皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。    2012.1.1 次のニュースで知った。 朝日新聞のウェーブサイトasahi.com1月2日 http://www.asahi.com/national/update/1230/OSK2011123000  2万人近い死者・行方不明者が出た東日本大震災を契機に、災害で大切な人を亡く... 続きを読む