仏教タイムズ2017年2月16日号に「仏教界への提言」が掲載された。 これを本ブログのシリーズ「戒名、布施問題の多角的アプローチ」の番外編として公開する。 紙面は大きいが、字数が少ないため、問題を絞った。 全日本仏教会の中間報告へも言及していない。 しかし、最も言いたかったことを書いた。 編集部からは「消費者からの視点」で書くよう要請を受けたので、「葬儀とは遺族にとってどういう場面か」ということを切り口にした。 そのことで戒名問題、布施問題、僧侶派遣についても根本的なことを書けたかと思う。 詳細は本ブログ... 続きを読む
布施と寺の関係―戒名、布施問題の多角的アプローチ⑥
布施と寺の関係 「布施」は理念的には、 「施す人も、施される人も、施す物品も本来的に空であり、執着心を離れてなされるべきもの」 とされている。 本質的には、仏法を説く「法施(ほっせ)」も布施としてなされるものであり、見返りを期待したものではない。 また、その僧を支えるものとしてなされる「財施(ざいせ)」も「布施」としてなされるものであり、何らかの対価、見返りを期待したものではない。 また僧や仏教徒の布施は寺院の関係を超える。地域社会に精神的、身体的、経済的、人間関係的に不安や困窮し困難にある... 続きを読む
親友の葬式―個から見た死と葬送(19)
親友の葬式 彼の葬式が行われる葬儀会館は駅からわかりやすい立地にあった。冬から春に移行する時期。コートはなくとも歩いて少し汗を感じるくらいだった。 式場に入る。遺族席に行って挨拶する。 死者の配偶者が私が来たことに驚き、腰を上げる。そして私が亡くなった彼の小学校以来の親友であることを周囲に教える。 「わざわざ、申し訳ありません…」 「いや、彼との約束だから。むしろもっと早く来るべきだったのですが」 「ちょっと顔を見てやってください。彼もSさんには会いたいでしょうから」 死後数日経っていたので、顔色は濃く沈... 続きを読む
布施の基本的理解―戒名、布施問題の多角的アプローチ(5)
戒名、布施問題について間が空いた。 前回は「布施問題の現況」について書いた。 https://hajime-himonya.com/?p=1498 今回は「布施」について基本に立ち返るところから書いてみる。 手元にある『岩波仏教辞典』(膨大な辞典類は事務所閉鎖に伴い譲渡したが、手元に残した数少ない辞典の一つ)には以下のようにある。 出家修行者、仏教教団、貧窮者などに財物その他を施し与えること。 とある。 「貧窮者などに」という言葉が入っているが、僧や寺院への財政的施しという面が強いことがうかがえる。 ... 続きを読む
子どもの貧困
子どもの貧困は日本の未来を決する問題だけではなく、子ども一人ひとりの人権に関する問題だと思う。 3keysによればhttp://3keys.jp/state/ OECDによると2005年の日本の子どもの貧困率は14.3%となっており、約6人に1人が貧困状態と言われています(2009年の厚生労働省調査によるとは15.7%)。 子どもの貧困とは、等価可処分所得の中央値の50%以下の所得で暮らす相対的貧困の17歳以下の子どもの存在及び生活状況を言い、一般的な水準の半分にも満たない水準で暮らしている子どもたちがど... 続きを読む