葬式の原点は何か 葬送の変化を決定づけたのは2008年のリーマンショックです。しかし、変化は今から20年前の1995年から始まっています。 お葬式は確かに表面的にはとても変化しています。現在進行形で変化しています。 葬祭仏教の成立期である戦国時代のお葬式、昼間に行われるようになった明治時代のお葬式、祭壇が照明で煌めいたバブル景気時のお葬式、それぞれ様相には変化があります。しかし、原点、基本には変化がないように思います。 変わっているのは死者を取り巻く環境です。環境の変化に伴い、お葬式の形態も変化してき... 続きを読む
突然父は逝った―個から見た死と葬送(11)
個のレベルから見た死と葬送(11) 基本としてここに描いたものはフィクションである。私の周辺で生じたものが多く含まれているが、当事者の心象に投影して描いている。 突然父は逝った ドーンという音が身体に響いた。 時計を見たらまだ明け方の4時過ぎ。 うめき声のする玄関に急いだ。 父が倒れていた。頭から血を流しながら。 それからのことはちゃんと記憶していない。 父を抱き起こして声をかけたこと、救急車を呼んで病院に搬送したこと、父がストレッチャーで救急病棟に入って行ったこと… 気がついたら手術室の前の廊下のベ... 続きを読む
死んだ戦友に義理立てした父―個のレベルから見た葬送(10)
個のレベルから見た死と葬送(10) 基本としてここに描いたものはフィクションである。私の周辺で生じたものが多く含まれているが、当事者の心象に投影して描いている。 死んだ戦友に義理立てした父 「親爺、もういいじゃないですか」 従兄が叔父を大声で制した。 叔父が「父の葬式をなぜしないのか」、「寺に断らずにいいのか」、と私に向かってなじっていたからだ。 叔父の気持ちも充分に理解していた。 「私たちもできるならば葬式をしたかった。だが、これは父自身の家族への言いつけだった」と叔父には繰り返し説明した。 「寺の墓は... 続きを読む
「閉眼」って、何?―「改葬」問題のコンテキスト④
「閉眼」って、何? 「改葬」問題から言えば、少し寄り道に近い話だ。 「改葬」に際して、元の墓を原状復帰するか、その費用相当分を墓地管理者に支払う。墓石を撤去するだけではなく、使用していた墓域である墓所全体を原状=つまり使用以前の状態に復する必要がある。 また、管理料に不払いがあった場合にはそれを支払う。 以上は常識に属する。 しかし、「閉眼供養」って、何だ? 墓石業の方、寺院の方は(もっとも仏教者に限ることだが)「墓を建てた時は開眼供養をし、墓を閉じる時は閉眼供養をするのは常識」とおっしゃるだろう。※真宗... 続きを読む
「終活」ブームのコンテキスト
記者さんから問い合わせがあったので、かつて雑誌に書いた記事を以下紹介する。2年前くらいに書いた記事だが、今でも有効だろう。 「終活」は「就活」をもじって週刊朝日が名付けたことから言葉として流行した。あまり好きな言葉ではない。 以下、が元の記事。 『SOGI』通信 No.69 「終活」という言葉は『週刊朝日』が2009年に連載した記事名「現代終活事情」が最初と言われる。2010年6月に連載のまとめとして刊行された週刊朝日MOOK「2010終活マニュアル」のタイトルは『わたしの葬式 自分のお墓』となっている... 続きを読む