個のレベルから見た死と葬送(9) 基本としてここに描いたものはフィクションである。私の周辺で生じたものが多く含まれているが、当事者の心象に投影して描いている。 弔われなかった死者たちの「葬」 「葬」とは、歴史的に見れば多様である。 大昔であれば、死ねば山や野に、いや川原や路端に捨てられたこともある。聖たちがその死体を集めて火をつけ燃やし、その跡地である塚に名をつけて歩いたとされる記録もある。中世から近世にかけ、戦場や災害で死んだ者の死体は、集められ、大きな穴が掘られ、そこに投じられ埋められ、その跡は「塚」... 続きを読む
悔い―個のレベルから見た死と葬送(8)
個のレベルから見た死と葬送(8) 基本としてここに描いたものはフィクションである。私の周辺で生じたものが多く含まれているが、当事者の心象に投影して描いている。 悔い 出棺時に、彼はボロボロ泣いていた。 肩を大きく震わせながら。 「ごめんな、ごめんな、ごめんな…」 彼は棺の中の妻に囁きながら謝り続けた。 彼の妻が倒れた時、彼は不在だった。 その日彼は、予定されていた会合とその二次会にも行くと言って出かけた。 その朝、普通に、彼の妻も毎朝やっているように、外に出て彼を見送った。 彼女が倒れたのは、推定だが、夜... 続きを読む
「改葬」に関する法令と若干の注釈―「改葬」問題のコンテキスト③
未だに改葬許可申請に、改葬先から受け入れ証明が必要と記載されていたり、改葬元墓地等管理者の埋蔵等証明が改葬承諾書みたいに誤解されている、と誤解されていたり、誤った記載をする説明が見られる。そこで「改葬」に関する法令について詳しく書く。 「改葬」に関する法令 墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO048.html 第1条第3項「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移... 続きを読む
彼の死後、同級生―個のレベルから見た死と葬送(7)
個のレベルから見た死と葬送(7) 基本としてここに描いたものはフィクションである。私の周辺で生じたものが多く含まれているが、当事者の心象に投影して描いている。 ⑫彼の死後 その男の写真とプロフィールは彼の創設した会社のホームページに今も残っている。 彼が創設したとはいえ、それは彼のフリー編集者としての事務所で、晩年(といっても40代)には、ほとんどボランティアとして医療活動の事務局を担った。その傍ら、その関連の人たちの手記を、自費出版に等しいものを、事務所の社名で細々と世に出した。類を見ないほど生真面... 続きを読む
祖父の記憶、「娘」の死―個のレベルから見た死と葬送(6)
謹賀新年*:ღ ╠ ╣ a Ρpy ღ:*♪(๑ノ ᴗ ◔ิ๑) *¨*•. 今年は年賀状を書いていません。皆さんにとっていい年でありますように。私はボチボチやっていきます。 2017年元旦 碑文谷 創 個のレベルから見た死と葬送(6) 基本としてここに描いたものはフィクションである。私の周辺で生じたものが多く含まれているが、当事者の心象に投影して描いている。 ⑩祖父の記憶 私には「祖父の記憶」というものがほとんどない。物心つく前に死亡しているからだ。 父方の祖父の晩年は、末子で、むずがる赤ん坊の私を... 続きを読む